認知症カフェ気軽に　専門職や地域とつながり

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認知症カフェ気軽に　専門職や地域とつながり

認知症の人や家族が気軽に憩える「認知症カフェ」が、九州でも急速に広がっている。２０１２年、厚生労働省の「認知症施策推進５カ年計画（オレンジプラン）」に普及推進が盛り込まれたのが契機だが、明確な定義はなく、運営方法や形態は多種多様。認知症カフェの先進地・京都の取り組みからその在り方を考えてみた。

今月下旬の日曜午後。京都市上京区の元小学校に「オレンジカフェ上京　まちなか“もの忘れ”相談室」の看板が掛けられた。お年寄りが三々五々集まり、介護職や看護師、社会福祉士などのスタッフが迎える。

この日は２９人が参加し、まずは講話やミニコンサート。この間にスタッフは別室で「作戦会議」を開く。参加者のプロフィルや雰囲気から、専門職が個別相談に応じた方がいい人を別室に招く段取りを決める。

その後のカフェタイムでは、スタッフや参加者と談笑する人、専門職への相談を深める人などさまざま。そんな中でもスタッフは一人一人に目を配り、困り事を引き出していく。今年４月に始めて４回目。必要があれば関係機関の支援につなぐこともある。

「認知症になっても相談できる場があり、地域に支えられて暮らせるという安心感を持ってほしい」。カフェの呼び掛け人で京都大医学部付属病院神経内科講師の武地一さん（５３）は話す。

初期や軽度の認知症の人はもちろん、自分や知人の認知症を心配する人など誰でも参加できる。京大病院で認知症を診察する武地さんは「認知症は怖いという価値観を変え、症状が進んで行き詰まってから初めて医療や福祉に頼るような人を減らしたい」とも言う。

専門職のスタッフはボランティアもいれば、勤務の一環の人もいる。運営に協力する民生委員の原吉則さん（６２）は「早い段階で専門職とつながるのは有意義。地域が支える原動力になる」と期待を寄せる。

一方、武地さんが市内の別地区で毎週日曜に開くカフェは、当事者と家族に参加を限定する登録制。病気を意識せずに過ごせる「心のよりどころ」の役割を重視する。毎回顔を出す武地さんは「両方の形態が広がっていけば」と訴え
る。

厚労省は認知症カフェについて「認知症の人や家族、地域住民、専門職などの誰もが参加でき、集う場」としか記していない。

既に全国に２００以上はあるとされ、運営費は行政などの補助金、寄付や利用者負担などで賄っている。多様な形態が評価される一方、武地さんは「デイサービスとの違いの明確化」「専門スタッフ育成」などの課題を指摘する。京都府では６月、約４０のカフェが連携する「京都認知症カフェ連絡会」が発足。課題を共有し、望ましい在り方も示していくという。

１２年に全国調査を行った「認知症の人と家族の会」（京都）は、カフェを「出会い直しの場」と位置づける。認知症の人が普段は見せない生き生きとした姿を家族や専門職、住民に見せることで、新たな関係を築く可能性に着目している。

福岡県久留米市で４月、ＮＰＯ法人が始めた認知症カフェ。初期認知症の夫（７１）とその妻（６６）が「こんな場を探していた」と笑顔を見せる。半面、認知症と知られたくないと地域の集まりには出ない人が、遠方からわざわざ足を運ぶ。

６５歳以上の約７人に１人が認知症とされる時代。根強い偏見を取り除くためにも、当事者はもちろん、家族や地域住民など誰もが安心して認知症と向き合える場が必要とされている。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/104887
http://gyazo.com/a5c95e0f647e5ecede917ebc8e6ee331
http://gyazo.com/01a7efa2620426c3d1e742693102a873

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