地方の特養 東京進出 新設の過半数占める
全国各地の社会福祉法人が東京での特別養護老人ホーム(特養)運営に続々と進出している。進学や就職で上京した団塊の世代の高齢化が急速に進み、介護施設の不足が深刻化しているためで、二〇一四、一五年度に東京で開設する特養の過半数が都外の社福法人の運営となる。早くから高齢化が進んだ地方では今後、施設の新設がそれほど期待できないため、進出する側にとっても事業拡大の好機という面がある。
東京では一三年十一月現在、全国で最多の四万三千三百八十四人が特養への入所を希望。都は、十五年以上前から独自に特養の整備費を補助する制度を実施している。
都施設支援課が三月上旬に開催した補助制度の説明会参加者のうち四割超が東京以外の社福法人関係者だった。都はその場で、定員一人当たりの整備費補助(ユニット型)を四百三十万円から五百万円に引き上げると表明。整備率が低い地域では一・一〜一・五倍に増額する仕組みもあり、定員百人の特養を新宿区で整備した場合、補助額は七億五千万円で「建設費の三〜四割程度は補助金で賄える」(同課)。さらに、定期借地代一時金への補助や、市区町村による独自の上乗せもある。
こうした優遇策の効果もあって、一四、一五年度に都内で新設される特養(地域密着型を除く)二十六カ所のうち、青森や富山、鳥取、徳島など“地方出身”は十四カ所に上る。
福祉系コンサルタントの関係者は「一法人一施設の運営が多い都内の法人に比べ、複数の施設を多角的に経営する地方の法人は資金力がある。地方から事業拡大を目指して進出するケースは今後も続くだろう」と指摘している。
<特別養護老人ホーム> 介護保険が利用できる施設の一つで「介護老人福祉施設」とも呼ばれる。食事や入浴、排せつなどのケアが24時間体制で受けられる上、有料老人ホームなどに比べ費用が安いため「ついのすみか」として入所を希望する人が多い。厚生労働省の今年3月の集計では、待機者は全国で約52万4000人で、このうち要介護3〜5の中重度者は、約34万5000人だった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014072202000123.html
http://gyazo.com/40c3b3d4eb398aa8898490be9c231d6b
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