介護現場へ「見守りロボ」、来年試験導入
人手不足の介護施設などで職員を支援する「見守りロボット」の実用化に向けて、愛知県内の中小企業8社が取り組んでいる。
岐阜県などが出資する第3セクターが開発した試作モデルを、「町工場」が得意とする加工技術を生かしてより使いやすい市販品に作り上げる挑戦だ。
愛知県豊田市の切削加工メーカー、鬼頭精器製作所は2008年のリーマン・ショック後、自動車や工作機械向けの受注が激減し、売上高が前年の3割まで落ち込んだ。鬼頭明孝社長(53)は新規事業を模索する中で、「やるなら社会貢献できる分野にしたい」と慢性的な人手不足が続く医療や介護に注目した。
同じく新規事業に活路を求めていた切削加工や部品、溶接、解析装置などの技術を持つ中小企業の社長らに声をかけ、10年9月に「新世代ロボット研究会」を結成した。
研究会のメンバー8社の従業員数は合わせて350人程度で、ゼロから開発を進める要員を捻出する余裕はなかった。
そんな折、介護施設内を職員に代わって見回る「見守りロボット」を開発した3セクの技術開発会社「VRテクノセンター」(岐阜県各務原市)が、製品化に協力してくれる企業を探していることを知り、名乗りを上げた。同センターの試作品を基に、研究会ではロボットの精密化や軽量化、低コスト化に課題を絞って製作を進めた。
見守りロボットは、おわんを伏せたような形状の駆動部から長さ1・2メートルの柄が伸びた形で、自力で走行する。柄の上部にカメラを内蔵し、映像を夜勤者のモニターに送る。
倒れている人を検知して知らせる機能や、入所者と簡単な会話ができる機能もついている。
介護士が一人で持ち運べる重さを目指し、動力にリチウムイオン電池を採用したほか、部品をより軽量のアルミにしたり、ボディーを薄くしたりして7キロ・グラムまで抑えた。8社が持つ技術が集約された形だ。
7月から介護士ら100人以上にアンケートを行い、改良を加えた上で、来年1月にも愛知県内の介護施設に試験的に導入する計画だ。市販時期は未定だが価格は1台60万円が目標だ。施設側が利用しやすいように月額1万円で5年間リースする方式を検討している。(西村公秀)
2014年07月10日 10時46分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20140710-OYT8T50037.html
http://gyazo.com/70e7d7423201bf1e9eb04960ee62be17
http://gyazo.com/afa4661c1912c440aea4d81afe1fe48a
関連ページ
- 大和ハウス、介護・福祉ロボ売上高50億円目標
- 大和ハウス、介護・福祉ロボ売上高50億円目標
- 中京大など、赤ちゃんロボ開発−高齢者の癒やしに一役
- 中京大など、赤ちゃんロボ開発−高齢者の癒やしに一役
- 介護ロボット産業に補助金 新潟
- 介護ロボット産業に補助金 新潟
- 介護用ロボ 実証評価へ…現場で改良点など検証
- 介護用ロボ 実証評価へ…現場で改良点など検証
- 安川電機、介護用移乗装置を公開
- 安川電機、介護用移乗装置を公開
- 介護ロボットが瀬谷に
- 介護ロボットが瀬谷に