春日部の特養虐待死　元職員に懲役１０年求刑

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春日部市の特別養護老人ホーム「フラワーヒル」で２０１０年２月に起きた入居者虐待死事件で、傷害致死の罪に問われた元職員大吉崇紘被告（３０）の裁判員裁判の論告求刑公判が２４日、さいたま地裁（河本雅也裁判長）で開かれた。検察側は懲役１０年を求刑し結審した。判決言い渡しは２８日午後３時。

被告人質問で大吉被告は、動機について「介助時に年下の先輩から注意を受け、認められたい、評価を得たいという気持ちになった。異常をつくって褒められようと思った」と供述。死亡した女性と遺族には「本当に申し訳なく思う。私が生きている限り、償いをさせていただきたいと思っている」と述べた。

「介護職は利用者にありがとうと言われることが重要ではないか。施設長からのお礼の言葉の方が重要だったのか」という男性裁判員の質問に、大吉被告は「そうです。ただ、そのときは組織の評価の方が大事だった」と答えた。

遺族の女性は「極刑に値する刑罰が与えられることを強く望みます」と意見陳述した。

論告で検察側は、入居者を守るべき立場でありながら、無抵抗の被害者に一方的な暴行を加えたと指摘。「犯行の結果は重大で遺族の処罰感情も厳しい。動機は愚かで、あまりに短絡的かつ身勝手で卑劣」と述べた。

弁護側は「結果は重大かつ非難されるべきこと」としながらも、骨折、死亡は予期しない結果だったことを強調。「逮捕後、反省しており再犯の可能性は全くない。家族のサポートも約束されている。執行猶予付き判決か、実刑でも懲役３年程度が相当」と主張した。

起訴状などによると、大吉被告は１０年２月１８日午前、当時勤務していた春日部市一ノ割の特別養護老人ホーム・フラワーヒルで、入居者女性＝当時（９５）＝の胸付近を手で数回殴り、胸骨骨折などのけがを負わせ、死亡させたとされる。